2023/6/4
森美術館でやっているワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会に、友達とのアフタヌーンの前に行った。開館直後ぐらいに行ったらディズニー展と列が分かりにくくて大変だった。
作品リストを見てから行くことを決めていたので、キュレーションで見せる展示ではないだろうなと予想して行ったら本当にその通りな印象を受けた。
テーマがテーマでもあるからか、あいち2022、藝大陳列館での展示みたいな教育的な雰囲気のある展示だった。ひとつひとつの作品と作家の解説が丁寧ではあるけど、キュレーションによる作品同士の繋がりではなく、個々の作品とテーマにフォーカスしている展示だった。キュレーションによって語るという側面が弱かったから、メッセージ性が薄くて、すごく印象に残る作品がなかったら影の薄い展示になってしまうのでは?
ただ、半数が森美術館のコレクションであったから、コレクションのお披露目という側面もなくはなかったと思う。そして作家を見ると圧倒的にアジアの作家が多い。展示を見ている人にそれなりの割合(3割は超えていたと思う)がいわゆる外国人観光客の人が多かったから、アジアの現代アートの中心地としての日本、森美術館みたいな印象づけをしたいのかな…と勝手に想像していた。(現代アートの中心地は韓国、中国、香港とざっと思いつくだけでも、それなりにあるけどM+ができた香港のイメージが強い)
ヨーゼフ・ボイス │Joseph Beuys
黒板
1984年 チョーク、黒板 186.5×193.3cm 所蔵:東京藝術大学
Blackboard
1984
Chalk on blackboard 186.5x193.3cm
Collection: Tokyo University of the Arts
藤井光は2016年の作品だったんだけど、最近の作品とは違って本人がちょこちょこ映り込んでいたので驚いた。あまり映り込む印象、自分の影を作品に映すことは避けている印象を抱いていた。
この作品はアメリカによって製作された戦前の日本の教育に関するビデオと韓国のアクターたちが日本軍の振る舞いをビデオで学び真似をするという二つの映像を軸に制作されていた。韓国のアクターたちの振る舞いが、帝国教育を受けていないと日本軍のように振る舞うことはできないと暗示している映像だなー見ていて思った。
この作品にそれなりに人が集まっていたけど、藤井光って本当にコンセプトを作るのがうまい。自分の言いたいことは言わないで、ないものを想像させる、みたいなことが本当にうまい。映像を通じて見ているこちらに言いたいことを考えさせるような作品を作っているよな…
菊地智子 │KikuchiTomokoスージエとマネーボーイ、河北省(「I and I」 シリーズより)
2007年
インクジェットプリント37.2×55.8 cm 所蔵:森美術館(東京)Sujie and Moneyboy, Hebei Province(from the series“I and I”)
2007
Inkjet print
37.2 x 55.8 cm
Collection: Mori Art Museum, Tokyo
ク・ミンジャ │GuMinja怪物のおなかの中2015–2023年 ビデオ
38分
作家蔵Inside the Belly of Monstro2015 – 2023
Video
38 min.
Collection of the artist
奈良美智もかなり好きなんだけど、少女の絵が好きというのではなくて、この人の空間作りを含めた作品が好きだな。それは青森、あいち2022の作品で感じた。青森は青森の文脈によりながら作品を作っているし、あいちもあいちで銀行の建物をここまで自分のものにするのか…と恐れ慄いた。